
てましたね。よく遠くへ離しましたね」と運転手さん。「私を見ている人もいるんだなあ」と思い、ちょっと昔を思い出しました。
仁から一通の葉書がきました。二十四歳のときでした。「お母さん、僕ロケットの打ち上げで、種子島へ行くことになりました」。私は嬉しくて、夜中の十二時ごろ手紙を書きました。真面目に仕事をしているので、褒美で行けることになったようです。
独身寮に入っているあいだ、仕事に嫌気を起こさぬように励ましの手紙を出しました。帰省するときがありました。「お母さんからの手紙こんなにあるよ」。箱につめられて渡され驚きました。大切にしていてくれたのです。
本人の努力がきっと実ったのでしょう。電子機器組立二級の技能士にも合格し、平成二年三月、良縁に恵まれ結婚しました。
平成何年でしたか、横浜のテレビで聴覚障害者でも立派に仕事ができると仁が紹介され、また六年十一月にはNHKの「びっくり仕事人」にも出て、お父さんと二人で見たときは本当に幸せを感じました。
たくさんの人たちに励まされ、勇気を与えて頂き頑張ってきた甲斐がありました。仕事をしている多くの仲間とともに、体に気をつけて頑張ってほしいと願っております。
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